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「ディア・ドクター」 このエントリーをはてなブックマークに追加
2010-03-04 Thu 18:10
木曜日恒例の映画の感想コーナーです。
木曜日じゃないと、見ても寝てしまうので書けないという、
超ハードなコーナーへようこそ!

今日は「ディア・ドクター」を見ましたよ!

この、西川美和さんという監督は、すごいですね。
本当に、オリジナルな映画を撮る方です。

こういう個性的な映画が世の中に存在する、ということは、
とてもうれしいことです。
本当の意味で、世界の豊かさを感じさせてくれます。


映画の感想は、例によってネタバレありなので、
お気をつけ遊ばせ。


この映画がとても素晴らしいところは、なによりも、

「登場人物にちっとも立派な人がいなくて、みんなブレまくっている」

ということです。



これは逆説的に批判しているわけでもなんでもなく、
文字通り、ブレまくっているからこそ素晴らしい映画になっています。

ふつう映画っていうと、非日常な立派でスーパーな人がいて、
その人がすごいことして奇跡が起きた! バンザイ!
っていうのが多いですよね。

もちろんそういう映画、楽しいですよ。
ぼく、ナウシカやラピュタ、大好きです。

でもこの映画は全く違います。

たとえば主人公の鶴瓶(扮する伊野)は、
精いっぱいがんばって、だいぶスーパーマンらしいんだけど、
本物の医者の井川遥に問い詰められて、あっけなくキレちゃいます。緊張の糸が。

瑛太もぶれるし、
(あ、これだけは言っとかなきゃ。「瑛太の映画に外れナシ!」)

香川照之もぶれる、余貴美子も、がんばるけど、やっぱり人知れずぶれる、
(救急の処置が終って、緊張が切れて立っていられなくなるシーン、ステキです)

そして警官役の松重豊のぶれ方がものすごい!
典型的な悪い警官だったり、その場その場で鶴瓶に理解を示してみたり、
「まぁよくそんなにぶれられるね」と、でも人間なんてそんなもんだよなと、
妙に説得力があるんですよ。松重さん、大好き。



西川美和という人は、
そういう人間らしさを全部受け入れて、
小さな世界の小さなこころのブレを掬い取ってくれます。

人間っていうのは、
「私はこういう人間です」なんていう風に、あるいは、
「あの人はこういう人ですから」なんていう風に、
言葉で括れるほど簡単には理解できないんですよね。

そこから外れる例外はいっぱいあって、
でも、例外も、その人そのもので、
括弧でくくって「それはその人じゃありませんよ。間違いです」
というわけにはいきません。

もしかすると、今世の中に間違いがあふれてしまっている理由は、
そうやって、いろんな間違いを括弧に括って、
「これは僕のせいではありません」
と自分の外に放り出してしまうから、なのかもしれません。

ちょうど鶴瓶が免許を持っていないことが分かった村の住民たちが、
それまで彼に助けてもらっていたことを、
「あれは本当の彼ではない」
と括弧に括って外に出してしまったように。



「でも仮にそれがわかっても、それを直せるような立派な人はいないものなんですよ」

と西川さんは言いそうですね。
そうして世の中は、どんどん複雑になって、
みんな抱えきれないくらいの悩みを抱えていて、
「じゃあどうしたらいいの?」と聞かれた西川さんは、

「スーパーマンはいない。私たちだけでは解決できない。
 だから、しょうがないんじゃないですか?」

と、それは、世を儚むわけではなく、
まず、「しょうがない」ことを受け入れましょうと。

それを受け入れたうえで、
世界のすべての解決ではなくて、
目の前の小さな問題を、できる範囲でちょっとずつ解決したり、
「やぁやっぱり駄目だったね」と、誰を責めることもなく言えばいいと、
そういうふうに思っているんじゃないでしょうか。

そしてそれをやっていた鶴瓶は、もう一息でスーパーマンでした。
でもスーパーマンにはなれなかった。
むしろ、スーパーマンなどに、なりたくなかった。

今、スーパーマンは、絶滅寸前で、
スーパーマンの絶滅が確認されたとき、
世界は変わっていくのかもしれません。
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