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『身体は意識より先に知っている』ということを知ると、映画の見方、人生の見方が変わる、というお話 このエントリーをはてなブックマークに追加
2010-10-14 Thu 22:26
昨日は映画を2本見まして、
それぞれに考えるところはあったんですが、
今日は映画の「作品」じゃなくて「見方」の話。



ほぼ日の池谷さんの脳に関する一連のおはなし。

それは「意識より先に身体は気づいている」という話でもありました。

これはひとの体と脳の構造の話ですから、
映画の登場人物だって当然同じふうに動いている、
と考えていいわけです。

そう思って改めて映画を見てみると、
もう映画の見方そのものが変わってしまうことに気が付きます。



というのは、映画の中でしばしば起こる偶然や奇跡、
こうしたものも、
意識で分かっていなかっただけで身体は知っていたんじゃないか、
そう思って改めて見てみると、
役者さんの小さな動きや今まで気にもとめなかった画面上の違和感に、
ふと気づくようなことが出てきます。

そして、
「意識は知らないけれど身体は知っている」
ということを表現できる役者さんというのは実はけっこういると思うんです。

いわゆる、
「役に入り込んでいる」とか「登場人物そのものになりきっている」
と言われるような状態。

その域に達した役者さんは、
演技をしたときに、その登場人物として、
現場の空気感に敏感に身体が反応していると思うんです。

あとから「あの微妙な動きは計算してやったんですか?」
と聞いても、
「え? そんな動きしてました?」
と答えるくらいの無意識の反応で。

それは監督に、
「3歩歩いてから一拍置いて振り返って」
なんて指示されてそのとおり動こうと意識したら、
まず表現できない身体の反応でしょう。



こうしたことを、
脳医学的に妥当なこととして評価できるようになると、
映画の見方や役者の見方が大きく変わるんじゃないでしょうか。



そしてこうなってくると、
映画の現場の有り様、監督の演出の有り様まで変わってくることになります。

まず、現場の空気感が役者の演技に影響する。
イヤ、役者のみならず、カメラマンでもその他のスタッフでも、
全員の身体が現場の空気感に無意識に反応しているわけですから、
その空気感を作ることは非常に重要になってきます。

また、監督の演出も、
上記の例(3歩歩いて…)のような、
登場人物の身体の動きに意識で制限を加えるような指示では、
身体が無意識に発動させる小さな所作が間違ったものになってしまいます。



だから演技が下手、みたいに言われる人がいるけど、
これは当人だけでなく、演出や現場の環境が悪い、
というのも少なからずあるわけなんですよね。



今、「それ当たり前のことじゃん」
と思った方がいるかも知れません。

そうなんです。当たり前のことなんですよ。



ただ、これまでそのことを、
脳医学的な観点から妥当性がある、なんてことは誰も知らなかったわけです。



「ゲイジツって言うのはそういうもんだ!バカ!!」

とかいうしかなかった現象に、サイエンスの分野から初めてお墨付きがもらえたと。



これはおもしろいことだと思うんですね。



そこでぼくが思い出したのは、黒澤明監督のある逸話。

作品名は忘れましたがある映画のワンシーンで、
登場人物が部屋にいるシーンがあったそうです。

そのシーンでは、引き出しの中に大事な手紙が入っている設定でした。
ただ、その手紙を取り出すようなシーンではありません。

で、助監督は「どうせ開けないし」ということで、
以前別の映画で使用した、この映画とは全く関係の無い手紙をとりあえず入れておいたそうです。

何かの拍子にそのことに気がついた黒澤監督、ものすごい怒りようだったそうです。



ぼくはこの話を知った数年前、こう思っていました。

「きっと現場でインスピレーションがあって急に変更したいときに、
それでは対応ができないだろう。だから怒ったのであろう」と。

もちろんそういう理由もあったかもしれませんが、
黒澤監督のことです。

そうすることで生まれる「この現場は虚構だ」という空気感、
それに映画が汚染されてしまうことを嫌ったんだろうと、
ぼくは今そう思うようになりました。



池谷さんの学説は、
映画の秘密、人生の秘密をちょっとだけぼくに教えてくれたのかな、と今思っています。

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